薬事法簡単豆知識

薬事法に関するTIPSをお届けします。
(以下、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器を併せて「医薬品等」と表記しています。)

薬事法における広告の該当性と広告の範囲

 薬事法においては、以下の3つの要件をすべて満たすものが広告に該当するとされています。

 薬事法における医薬品等の広告の3要件

  1. 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
  2. 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
  3. 一般人が認知できる状態であること
  4. (平成10年9月29日医薬監第148号「薬事法における医薬品等の広告の該当性」より)

 上記の3要件を満たすものは、その方法や手段に関わらず、広告に該当すると判断される可能性が高いと言えます。したがって、チラシやパンフレット、販売サイトの表示のほか、店頭や相談会、訪問販売、キャッチセールスなどで行われるセールストークも広告に該当すると考えられます。

医薬品等の法定表示と任意表示

 医薬品等は、品目ごとに直接の容器もしくは直接の被包に必ず記載しなければならない事項が定められています。この記載しなければならない事項は「法定表示」と呼ばれています。これに対し、法定表示のほか、製品の直接の容器もしくは直接の被包に任意に表示される事項(キャッチコピーや商品の特徴についての説明など)は「任意表示」と呼ばれています。

健康食品・健康雑貨と薬事法

 健康食品や健康雑貨などは本来薬事法の規制対象品目ではありません。しかし、医薬品等と誤解されるような表現を表示・広告で用いたり、医薬品や医療機器でしか使用できない成分や構造を採用したりすると、薬事法第68条「承認前の医薬品等の広告の禁止」に抵触するおそれがありますので、注意が必要です。

そもそも、健康食品とは?

 健康食品についての明確な法律上の定義は存在せず、「一般の食品よりも健康によい食品」というものが、現在の一般的な定義です。そのため、健康食品の広告においては、一般的な食品の広告において標ぼう可能な範囲を超えた内容を謳うことはできません。

明らか食品

 野菜や果物、生鮮食品など、誰が見ても明らかに食品であると認識されるものが「明らか食品」と呼ばれるものです。例えば健康食品は医薬品と誤解されるような売り方をすると薬事法や健康増進法に違反するおそれが強いですが、誰が見ても明らかな食品であればそれを医薬品と誤解する人はいません。「明らか食品」は薬事法の適用のないゾーンであり、効能を述べても違反とはなりません。
 ただし、明らか食品の広告については、その標ぼうが誇大なものとなっていないか(疾病に効果がある旨を標ぼうする場合もこちらに該当するおそれがあります)など、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)などの法規に注意する必要があります。

行政指導について

 行政(所轄は本店所在地の都道府県庁)は、製品が薬事法に違反していると判断した場合、製品の回収命令や回収示唆をすることができます。また、販促物に対しても停止命令や次回からの改善を促す事がありますが、販促物の表現違反でいきなり製品を回収したりすることはないと言えます。指導は違反の内容によって異なってくるようです。

医薬品等適正広告基準

 医薬品等の広告についての留意点を網羅したガイドラインです。製品の名称関係、効能効果の表現関係、他社製品の誹謗表現の制限や不快・不安の感じを与える表現の禁止など、薬事法の規制に基づくものから医薬品等の品位の保持のためのものまで、様々な内容の項目が定められています。
 この基準は医薬品等を対象としたものですので健康食品・健康雑貨は適用対象外ですが、広告において問題になりやすいポイントとして参考にすることができます。

46通知

 46通知とは、昭和46年に発出された通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の通称です。この通知では、健康食品と医薬品とを区別するためのチェックポイントが規定されており、発出から40年近くを経た今でも年々改訂が重ねられています。

主な関連法規

 医薬品等、健康食品、健康雑貨の広告においては、薬事法に注意を払うのはもちろんですが、広告手法や販売方法、品目などによってはその他の法律にも注意しなければなりません。広告・販売において、とくに関連が深いと考えられる法規としては、以下が挙げられます。

  • 景品表示法
  • 健康増進法
  • 特定商取引法
  • 個人情報保護法
  • 特定電子メール法
  • 健康増進法
  • 民法(契約関係)
  • 消費者基本法
  • 消費者契約法

 また、行政対応をする際に知っておくと役に立つ法律として、以下が挙げられます。

  • 行政手続法
  • 行政不服審査法
  • 行政事件訴訟法