薬事法とは

薬事法の概略をご紹介します。
※各品目の定義は、薬事法の条文を読みやすく整理しています。

薬事法とは

 薬事法とは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器(以下、医薬品等)の品質・有効性・安全性の確保等を目的とする法律で、医薬品等の製造・販売・流通に関する規定はもちろん、医薬品等の表示・広告、薬局の開設に関する内容等についても定める法律です。医薬品等を取扱う際にまず参照すべき、基本となる法律であるといえます。
 現行の薬事法は、昭和35年に施行されて以来、何回かの改正を経て現在の形に至っています。なかでも平成17年度の改正の際には、許認可システムにおいて新しく製造販売業という業種が登場するなど、大きな変更がありました。この平成17年の改正は、薬事法制定以来の大改正とも言われています。
 薬事法の目的は以下のように規定されています。

「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。」(第1条より引用 出典:法令データ提供システム http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO145.html

医薬品の定義(薬事法第2条第1項より)

  1. 日本薬局方に収められているもの
  2. 人または動物の疾病の診断・治療・予防に使用されることが目的とされているもので、機械器具・歯科材料・医療用品・衛生用品(以下、機械器具等)ではないもの(医薬部外品を除く)
  3. 人または動物の身体の構造や機能に影響を及ぼすことが目的とされているもので、機械器具等でないもの(医薬部外品・化粧品を除く)

医薬部外品の定義(薬事法第2条第2項より)

次に掲げるものであって人体に対する作用が緩和なもの

  1. 次に掲げる目的のために使用されるもの(医薬品の定義2、3に規定される目的を併せもつものを除く)で、機械器具等でないもの
    • 吐き気その他の不快感、口臭、体臭の防止
    • あせも、ただれ等の防止
    • 脱毛の防止、育毛または除毛
  2. 人または動物の保健のためにするねずみ・はえ・蚊・のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用されるもの(医薬品の定義2、3に規定される目的を併せもつものを除く)で、機械器具等でないもの
  3. それ以外に、医薬品の定義2、3に規定される目的のために使用されるもののうち、厚生労働大臣が指定するもの
    • 衛生上の用に供されることが目的とされている綿類(紙綿類を含む)(※生理処理用品など)
    • ソフトコンタクトレンズ用消毒剤
    • きず消毒剤
    • しもやけ・あかぎれ用薬
    • 染毛剤
    • パーマネント・ウェーブ用剤
    • 浴用剤
    • 口腔咽喉薬
    • ビタミンを含有する保健剤
    (平成21年厚生労働省告示第25号『薬事法第二条第二項第三号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬部外品』より)

化粧品の定義(薬事法第2条第3項より)

 人の身体を清潔にする・美化する・魅力を増す・容貌を変える・皮膚や毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦・散布などの方法で使用されることが目的とされているもので、人体に対する作用が緩和なもの(医薬品の定義2、3に規定される目的を併せもつもの、医薬部外品を除く)

医療機器の定義(薬事法第2条第4項より)

 以下を目的とする機械器具等であって、政令で定めるもの

  • 人や動物の疾病の診断・治療・予防に使用されること
  • 人や動物の身体の構造・機能に影響を与えること

薬事法における広告規制(薬事法第66条~68条より)

薬事法においては、広告規制について以下のように規定されています。

【誇大広告等の禁止(第66条より)】

  • 何人も、医薬品等の名称・製造方法・効能・効果・性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布をしてはいけない。
  • 医薬品等の効能・効果・性能について、医師その他の者が保証したと誤解されるような記事を広告・記述・流布してはいけない。
  • 何人も、医薬品等に関して堕胎を暗示したり、わいせつな文書・図画を使用してはいけない。

【特定疾病用の医薬品の広告の制限(第67条より)】

  • がんなど、政令で定める特殊疾病に使用される目的の医薬品で、医師・歯科医師の指導のもとに使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものは、政令で医薬品を指定し、その医薬品に関する広告につき、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限するなど、当該医薬品の適正な使用の確保のために必要な措置を定めることができる。
  • 厚生労働大臣は、上記の特殊疾病を定める政令について、その制定・改廃に関する閣議を求めるには、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならない(薬事・食品衛生審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない)。

【承認前の医薬品等の広告の禁止(第68条より)】

  • 何人も、薬事法で定められた承認・認証を受けていない医薬品・医療機器について、その名称・製造方法・効能・効果・性能に関する広告をしてはいけない。

 66条・68条で、「何人も」という語が入っていることに注意してください。製造業者・製造販売業者などのメーカに限らず、誰が行うものであってもこれらの広告行為は禁止されています。